ロイターブログ

討論×闘論

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2012年08月14日 10:51 am JST

百貨店は生き残れるか

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JAPAN/今夏、小売り業界で話題だったのはセールの分散化だ。従来通り7月1日前後から開始する小売り・商業施設と、2週間程度後ろ倒しにした店舗とに対応が分かれた。

7月上旬の低めだった気温や亜熱帯化を思わせる集中豪雨などの天候不順に加え、今回の動きは消費の現場を惑わせる要因の一つとなった。

セール時期の分散だけが原因ではないものの、7月の百貨店売上高速報は大手4社ともマイナスとなった。ただし正規価格での売上げ比率が高まれば、利益面ではプラスになる可能性がある。

業界内の小さな話のように思えるが、仕掛けた側の思いは熱い。慣習に一石を投じた三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「目先の売上げではなく、10年後に百貨店が残るかどうかを考えて議論してほしい」と力説する。「百貨店のあるべき姿を追及して生き残っていきたい」と大西社長は語る。

百貨店のメーンである衣料品は、3―5月が春、6―8月が夏、9―11月が秋、12―2月が冬と大きく4シーズンに分かれる。これまでは、7月上旬という夏シーズンの真っただ中にセールが行われており、早い時期から欠品などが発生していた。大西社長は「本来、色やサイズが不足してきて初めて値引きするもの。欲しい時に、欲しい商品を、欲しい量だけ提供するためには、これをやらなければ百貨店はダメになるとして踏み切った」と話す。

百貨店らしさを取り戻すという考え方は、改装中の伊勢丹新宿本店でも随所にみられる。婦人靴の試着用の椅子を増やしたり、通路を広くするなどしたことで、改装前よりも売り場面積は縮小するものの、顧客がストレスなく買い物ができることを優先したという。

2011年の百貨店業界の売上高は約6兆円となり、9.7兆円あった1991年のピーク時から3分の2に縮小した。業界では、5兆円を割り込むとの予想もある。危機感を募らせた業界では、セブン&アイ・ホールディングスのグループ力を集結して乗り切ろうとするそごう・西武、パルコを買収して都心で上質な商業施設を目指すJ.フロント リテイリング、そして、百貨店の王道を守り抜こうとする三越伊勢丹など、それぞれの個性が出てきている。

他社と同じブランドが同じように展開されている百貨店では、セール時期の分散化はプラスに働かない。個性あるブランドの誘致や企画力も必要となる。また、足元では、ネットショップや駅に隣接する商業施設など、競争相手は多い。他よりもセール時期を遅らせる以上、それらの商業施設に勝つだけの魅力を備えなければならない。

百貨店という業態の生き残りをかけた勝負が始まったとも言える今夏――。皆さんは、百貨店に何を求めますか。

(写真/ロイター)

2012年08月13日 12:22 pm JST

「迷信」を一蹴した金メダル

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OLY-BOXI-BXM75K/(BXM075101)いつからか日本人は引く力が強くて、押す力が弱いというのが通説になっていた。

日本の鋸(のこぎり)は引いて切るが、欧米のは押して切るのは、そのためだと。だから、引く力が必要な柔道やレスリングは強いが、ボクシングなど押す力を試される競技に日本人は向いていないとの説を、多くの人が一度は聞いたことがあるのではないか。

さらに体格が劣る日本人は、重量級のスポーツには不利ともよく言われてきたが、ロンドン五輪ボクシングのミドル級(69─75キロ)という重いクラスで、村田諒太選手は日本ボクシング史上初となる同階級の金メダルを獲得。村田選手は、昨年の世界選手権で銀メダルをとっており、決して勢いだけで優勝したというわけではない。

準決勝、決勝と目立ったのは重いボディブロー。アマチュアボクシングは3ラウンドしかないが、試合後半、相手選手はクリンチを繰り返すなど明らかにダメージを負っていた。ダメージ重視のプロに対し、アマは、当たったかどうかのテクニック重視だが、テクニックよりも強さを感じさせる勝利だった。

OLY-BOXI-BXM75K/(BXM075101)プロボクシングでは何人もの日本人の世界チャンピオンが誕生しているし、ミドル級の日本人王者も過去にいる。「押す」「引く」の議論はとうにないのかもしれないが、「迷信」を一蹴する痛快な金メダルだった。

「日本人にできないと言われていたわけですけど、僕にできないとは聞いたことがなかったので、自分はできると信じていました」と村田選手。できない、向いていない─そんな「迷信」など気にせず、自分を信じ続けた勝利と言えよう。

今大会、金メダルはそれほど多くなかったが、バドミントンや卓球など「史上初」のメダルが多かったのが印象的だった。なでしこジャパンの勝利には慣れ始めてきたものの、ついこの間までは、日本のチームがサッカーで決勝戦に進めるなど夢のまた夢だったはずだ。

いつの日か、100メートル走で日本人が金メダル。バスケットボールで優勝。夢物語とは決して言えないのではないか。

(写真/ロイター)

ロンドン五輪での日本選手の活躍をまとめたスライドショーはこちら

2012年08月09日 11:53 am JST

関電でんき予報が与える「違和感」 

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JAPAN-NUCLEAR/POLITICS大飯原発3、4号機の再稼働で、関西電力管内の夏場の電力不足は、ほぼ解消する見通しとなった。それでも2010年夏比10%以上の節電要請は継続中。大阪市内の関電本店ビルには、市民に協力を求める大きな垂れ幕がかかる。

大阪繁華街の梅田界隈を歩いてみると、オフィスビル、デパ地下と暑苦しい感じはしないが、空調温度が若干高めに設定されているのか、やがて額に汗がにじんでくる。

地下街に点在する電子看板には、「輝度50%、節電のため明るさを調整しています」との文字。街中に「節電中」と書かれた貼り紙を、以前より見なくなった気がする。節電ブームが終焉したのかと錯覚するほど、ひっそりと静かに節電対策が進んでいる。

ある意味慣れてしまった面もあるのだろう。陰気なムードは払しょくすべしとの大阪商人たちの気概も見え隠れする。「困るわあ、何したらええかわからん」と言いながら、その陰では電気代を減らす口実になると電卓をたたくのが、コスト意識の高い大阪商人の本来の姿──。ある企業の幹部はそうつぶやく。

関電によると、節電要請を始めた7月2日から27日までの間の最大電力使用量(14時─15時)は、2010年に比べ平均で約9%減、約240万キロワット減少したという。関電はこの中に節電効果が含まれていると見ている。

皮肉にも集計期間の終了間際である7月26日以降、大阪市内では9日連続で最高気温が35度以上の猛暑日が続いた。それでも7月以降、電力使用率が90%を超えたのは8月8日時点でたった2日。95%以上はゼロだ。関電の「週間でんき予報」を見ても、電力使用率の見通しが9割未満とする「緑色の顔」マークがずらりと並んでいる。

これでは原発を動かさなくても電力が足りていたのではないかと違和感を抱く市民が増えても不思議ではない。燃料費増による財務悪化を関電が恐れているだけではないか、そんな声を耳にすることもある。

大飯原発の再稼働がまだ不透明だった5月、町工場が集積する東大阪を回った。節電対策と言われても、大手メーカーが海外調達を増やす中で、目先の仕事を失わないか、そちらの方が不安というのが中小企業経営者らの本音だった。厳しいコスト競争下にある彼らにとって、節電は当然のこと。それより電気料金が値上げされればどうなるか、切実な状況を聞かされた。

関西経済界は夏を前に、計画停電を何としても回避してもらいたいと、大飯原発再稼働を強く訴えた。いずれ電気料金の値上げは地元企業の経営をさらに苦しめるとして、原発稼働のさらなる必要性を訴え始めるのかもしれない。関電本店周辺のデモ参加者らと、経済界との距離感は縮まりそうにもない。

再稼働前に夏の限定的な原発稼働を求めたのが、橋下徹・大阪市長。ただ、関電は安全性が確認できた原発は再稼働すべきとの立場を崩さない。中長期のエネルギー構成について、国の方向性が定まらない中、地元自治体と関電の間で、半期ごとに電力需給はどうなるのか、節電要請は何%なのか、同じ議論が繰り返されるとしたら、もううんざりだと受け止める市民が増えるのも時間の問題だ。

パナソニック、シャープと、地元を代表する大手メーカーがリストラに動きつつある関西経済は、先行きに暗い影が差しつつある。一方、安全性への信頼が失われたとして、原発再稼働に反対する人々の声は依然として根強い。自治体の首長らはどちらの声に耳を傾けようとしているのか。試されているのは政治家としての嗅覚だろうか、それとも信念か。

(写真は先月29日、都内での反原発デモ参加者ら/ロイタ―)