10月30日の日銀金融政策決定会合やその後の白川方明総裁の会見で、国内外のメディアの多くはCPや社債を対象にしたオペの打ち切りや、デフレと超金融緩和策の長期化の見通しに多く言及したが、ロイターの速報以外では全く触れられていない部分があった。
白川総裁は、世界経済の先行きに関する質問に答えた中で「先進国の金融緩和で供給された資金やリスクテークの能力が、(中略)新興国の経済を押し上げている」「したがって先進国と新興国を結ぶ1つの大きなリンクは、先進国の金融緩和が、染み出したという言葉がいいのか悪いのかわからないが、影響していることだと思う」と指摘した。
先進国の金融緩和が、新興国の経済上振れに影響を与えているとの指摘だ。
同じような質問に対し、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、10月19日に米カリフォルニア州のサンタバーバラで、先進国の金融緩和効果が新興国に波及したかどうかには言及せず、アジアで発生する可能性のある資産バブルについて懸念を表明。過剰な貯蓄を抑制し、消費を促進するべきであると述べていた。
他の中銀首脳も、この問題のメカニズムに関し、明確に指摘したことは、今までのところない。
一国の金融政策が、マネーのグローバル化に伴って、その効果が自国内で出ないうちに海外で、その当局の想定とは異なって影響が出る可能性があるとの見方は「一部の当局者の中で、水面下で認識されている」(国際金融筋)という。
その認識をさらに推し進めていけば、各国ごとに中銀が別々の金融政策を取った場合、政策効果が意図しない場所で、意図しない形で出てくるという指摘も、国際金融を専門に見ている人たちの中では、問題として意識され始めている。
しかし、この問題を解決するような新しいシステムを構築しようとの動きは全くなく、今週末に開催されるG20でも、そうした視点にたったアクションが取られる可能性は今のところゼロだ。
だが、白川総裁が率直に指摘したように、米、欧、日など先進国の中銀が実施した金融の超緩和策の効果が「染み出し」というかたちで新興国に出てきたことは、間違いないだろう。この現象を正直に認め、先行きのマクロ政策を議論することはできないのだろうか。
白川総裁の指摘が、主要な中銀やG20などの場で、積極的に議論されるような展開を望みたいが、現実離れとのおしかりを受けるだろうか。
(写真/ロイター)

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9件のコメント
オイルマネー、超低金利の日本マネーの逆キャリーが2008年の不況を招いた。
- 投稿者 miew今、日米欧が揃って超低金利政策を取っているが、日米欧はバブル再現には程遠く、資金は投機と新興国に回っている。
資源の投機市場はそれほど大きくなく、受け皿となった新興国、中国・韓国・東南アジアではミニバブルが発生中。
これら新興国のバブル崩壊が直接世界を直撃することは無いだろうが、新興国の成長頼みの日本の製造業に与えるボディブローはかなり効くはず。
二番底の到来を確信しています。
ソ連の崩壊により経済の「グローバル化と新自由主義」が猛威を振るった。「アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」と言われたが、いまでは、アメリカが風邪をひけば「世界中が風をひく」。新型インフルエンザでまだ解明や影響がどう出るのか、対処もどうしたらよいのか混乱状態。
原因ははっきりしているのに、価値観の転換や行動様式の転換(規制・ルール)を掛ければ「自由主義ではない。市場が死ぬ」と訳のわからない事を言い続けている「原理主義者」が多い。
軍事も経済(生活)も従来のやり方が通用せず、混乱を起こすばかりなのであるが、思考が変えられない。何と人間は、「恐怖と欲」の奴隷と化すている事か。
明らかに、変革・転換が必要である。
- 投稿者 sisonagaseご指摘の件ですが、残念ながら問題を問題として解決する気はおそらくないと思われます。新興国は投資マネーはウェルカムですし、先進国の、特に金融業界はバブルという賭博場を常に欲するからです。
金融危機の根本解決についても、喉元過ぎればなんとやらで、腰砕けとなりましたね?つまりは、そういうことです。
しかし、例に出されたアメリカも日本も厳しい。
大統領自らクレジットはダメだ貯蓄しろといってる国から、バブルの最中の過剰消費が元で破綻した国から、バブルの最中に消費をしろと言わねばならぬ。
なにかあれば、キャリー撒き戻しで高くなるドルの更に上を行き独歩高を演じる円を擁する日本から、染み出し云々を言わねばならぬ。
別に、如何なる国も現象を認知できていないわけがありませんが、先進国は外にネゴを入れる前に、内なる病を撃退しなくては話にならないところが、悩ましい。それもガンとか末期の糖尿病並の病。
ふぅ…逃避の紅茶が美味しい季節になりました。
- 投稿者 真紅「染み出す」という表現には敬服します。
- 投稿者 白井 右仮にリーマンショックを資金集中による一級河川の氾濫に例えたとすれば、その灌漑措置を短期的対処策に留めた事は、更に大きな二次的災害が発生しうるリスクを保有しているという事になるのではないでしょうか。
20世紀「止むを得ず」という対処策を繰返した結果できた歪。
これを止める事は容易ではない現実として共有し、受け入れない限り、川の流れを変えることはできないのではないでしょうか。
金融自由化の名の下に肥大膨張した世界経済の「バランス」を取り戻す為には、利害を超えた真の協調を中長期の対策をもって、最優先しなければ誰も取り返しのつかない氾濫を生みかねない、と危惧します。
一時的「利」をすて、未来の礎につながる「理」を築くことを切望します。
まったく、ご指摘の通りでしょう。
- 投稿者 midas日本が超低金利を続け、円やドルの協調融資をしているのですから。
今、日本は海外生産でコストを下げていますが、比較的小さな経済圏に莫大な日本の資本が入れば、あっという間に海外での生産コストが上がってしまうと思います(中国でもわずか10年ぐらいで3~10倍近くになったのですから)。
日銀の白川さんは、インフレによる赤字国債救済はないと、財政規律を政府に求めましたが、実際、供給しても海外に流れていってしまうのが現状でしょう。ただ、海外での生産コストが上がれば、円は貫流してくるわけで、円安+インフレは避けられないと思います。
先進国の金融機関に供給されたマネーが新興国
- 投稿者 texnianへの投資に回ることは十分考えれらる。
中国やインドも財政出動を大規模に行ってはいるが、
インフレ懸念から金融面での緩和は困難であろう。
このことから、マネーの先進国から新興国への
「染み出し」自体はある面で歓迎されるべきかもしれない。
当然ながら、一次産品や不動産のバブル化に対する監視は
新興国自身が厳格に行う必要があるが、現在の状況からして、
拡張的経済政策は正当化可能であろう。
全くその通りだと思います。アメリカの金融バブルも先進国、特に日本の低金利が原因のひとつと言われてますよね。白川総裁の「染み出す」という表現はニュアンスがわかりやすいですね。
- 投稿者 すけちゃん先進国とりわけ日米は「流動性のわな」に陥り、資金の過剰供給が自国の景気上昇に向かわず、新興国とりわけ中国、インド、ブラジルに資金が流れ込んで、不動産や金等の資源の価格上昇・バブルを引き起こしている。
- 投稿者 平岩 正明サブプライム後の世界経済は近隣窮乏化政策に各国が走っており、ゼロ金利を長年続けてきた日本は、金利引き下げ等の政策は打てず、日銀は資金を供給するだけで、その資金が新興国に流れて行ってしまっている。
日本にはM&Aによる企業活性化・経済成長を図るには、ゼロ金利を解除し海外からの資金を受け入れる状況を作らない限り、ますます貧乏になっていく。
責任の有る立場の人達がキャリートレードについて語る事ができないのは、それは自国が投資先として魅力が無いと言うのと同じ事で天つばになるからだと考えています。この問題について軽率な事を言うと、おそらく新興国や資源国側から自分の国の魅力を上げるべきでしょうと言い返されるに決まっています。
- 投稿者 第九の鉄人だいたい、新興国は資金が入り過ぎるのも困りますが、入ってこないのはもっと困ります。それにコモディティ価格が上がって困るのは買う方で、売る方は嬉しいのです、少なくとも世界経済の成長を損なわないレベルまでは。
投資家として、株・コモディティ・為替におけるキャリートレードは,いまや非常に重要なファクターですが、上手く付き合って行くしかありません。
ただ、誰も日銀の相手をしてくれないでしょうが、数年後円高ピークの後、国内資金の逃避と重なって、円キャリーが復活し、円安が一気に加速し輸入インフレを発生させると危惧しています。いや、日本人の生活水準に関わる本当にたいへんな課題だと思います。