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2009年11月12日 11:54 am JST

絶好調・豪経済の秘密

投稿者 インサイトコラムニスト
タグ: インサイトコラム, 世界経済, 経済, 経済政策, 金融危機, , , ,

*この投稿は、ロイターの「インサイト」コラムに掲載された寄稿を抜粋しました。

双日豪州会社 経理マネジャー 唐原 研

オーストラリア準備銀行(RBA)は、10月6日と11月3日に利上げした。初回の利上げはリーマンショック以来、先進国では初めてだった。先進国の中で、いち早くオーストラリア経済が回復軌道に乗り始めた理由は何なのか。

景気拡大を支えてきたのは、石炭、鉄鉱石、石油、ボーキサイトなどの豊富な天然資源である。特に金融危機直前には、資源ブームによる価格高騰や急速な経済成長を遂げる中国の資源需要増加により、資源輸出は価格、数量ともに大幅に伸びていた。この堅調な経済に対し、金融危機の与えた影響は一過性で、早期の回復に至ったという見方もある。

また、ラッド政権による金融危機対応に対し高い評価がある。その柱となったのが財政支出と金利引き下げである。財政支出では、個人への給付金、住宅取得支援、各種インフラ整備、中小企業の設備投資への減税といった景気刺激策が早い段階で発表された。

一方、政策金利は金融危機直前には7.25%であったが、2008年9月以降の6回のRBA理事会で利下げを決め、2009年4月の理事会では3.00%まで引き下げられていた。

金融危機以前の半分以下の水準になったとはいえ、元々の金利率が高かったことで、引き下げられる余地が大きく、さらに相対的に高いレートを底として据え置く事が可能だったことも、他の先進国と比べてマクロ政策上のフリーハンドの幅が大きかったと言えよう。

さらに、暮らしの中で筆者が肌で感じる部分として、オーストラリア人の国民性を挙げたい。細かい事にとらわれないおおらかな気質、人々がよく口にするオーストラリア英語の「No worries(気にするな)」の精神が、景気回復に影響を与えたと思えてならないのである。

金融危機後も、昼食時になれば、高級レストランはワインのボトルを空けながら、相変わらずのんびりとランチを楽しむオージーたちであふれていた。知人たちが長期の休暇を取って、アメリカやヨーロッパ、あるいは日本へと旅行に出掛けて行くひん度も、全く減ったように感じられなかった。

オーストラリアは、世界でも有数の持ち家率の高い国であり、この比率は過去40年間安定して7割程度だと言われている。最近の調査によると、持ち家所有者のうちの3分の2以上が、ローンで住宅を購入している。

このような状況下では、当然、7.25%から3.00%への政策金利引下げがローン債務者にとって大きな金利負担軽減をもたらし、可処分所得の増加を生じさせるので、非常に有効な景気刺激策であったことは言うまでもない。

RBAは、インフレを適正な水準に維持することを目的として、金利を次第に通常の設定に戻すべきとしており、先物市場では2010年11月までに5%程度に引き上げられるとの見方が強い。

この金利上昇が、ローン金利負担の上昇などにより国民の消費マインドを変えていき、少なからず景気回復に影響を与えるのか、あるいは相変わらずの「No worries」の気質により、国民の生活パターンは特に変わらず、大きく消費が落ち込む事もないのか。今後の動向を興味深く見守っていきたい。

全文は、こちらでご覧になれます。

*投稿におけるいかなる見解又は意見は当該コラム寄稿者自身の見解や分析であって、ロイターは、それらを是認せず、またはそれらの正確性についても保証しません。

3件のコメント

在豪10年になります。
非常に共感できる部分が多く、的確な指摘だと思い、初めてコメントさせて頂きました。

「経済がたまたま順調だから政治がすぐれているというのはおかしい」との投稿がありますが、私が感じるに、現労働党政権の景気回復への対応の良さは麻生さんと比べてはるかに素晴らしいものでした。
(日本では受け取る人の収入上限をつけるつけない、或いは受け取りを自粛するしないで揉めて、結局支給が大幅に遅れたと記憶しています、小生はもらってないので記憶が定かでないですが……)
NO WORRIES = 危機感がない そのとおりです。だからこそ、楽観的な生活環境=消費が落ち込まなかった という事についても小生もつね日ごろから感じています。

ただ、最近の低金利+ファーストホームバイヤー手当て増額理由に新たに家を買った低所得者層が、これから金利が上がる事で生活が苦しくなることは必至であり、筆者の方の言われる「国民の生活パターンが変わらない」可能性というのはちょっと難しい気がします。

個人的には定期預金の金利収入増加の為に、金利アップを強く望んでいる今日この頃です。
 

- 投稿者 おーじーさん

悪口みたいに聞こえるでしょうが、私は米英豪は好きでそれなりにポートフォリオは配分しています。
しかし、地面を掘って売っている物が、3倍4倍になっているような国で経済が順調だから、政治が優れているというのは?でしょう。BHPビリトンのような優れた会社は有りますが、多くの豪州企業がグローバルで競争力が有るかと言えばNOでしょう。
AUDとかCADとか非常に過大評価されていますが、私は現在の資源国は良くも悪くも都市近郊の地主のようなものと考えています。No worries.よくとればご指摘の通りですが、悪くとれば危機感が無い、そんなところではないでしょうか。
AUDやNZDは日本人に人気の通貨ですが、日本人がこれからパニックになったら慌てて売るリスクがありますから、高金利につられて中途半端なポジションは持たない方が良いと思います。
しかし、地面を掘って売れば楽に儲かるような気がしますが、実のところ鉱山も巨大装置産業で、経営は非常に難しいようですね。

- 投稿者 第九の鉄人

 非常に目配りの利いた文章と内容で、大いに参考になります。
 No worriesですか。生活スタイルや意識が経済に大きく影響する事は、認められています。アメリカも日本も少しは見習う必要がありますね。
 政策手法と資源も大変な要因ですね。広大な自然もその生活スタイルや意識を規定しているのでしょうか。ブラジルもそうでしょうかね。

- 投稿者 sisonagase

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