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2009年10月09日

好調ユニクロと日本製ブランドの力

Posted by: 田巻一彦

FAST-RETAILING/ユニクロを出店するファーストリテイリングは、2010年8月期に連結営業利益が前年比10.5%増の1200億円と2期連続の過去最高益更新を見込んでいる。

低価格とファッション性を両立させた商品群で、国内ユニクロ事業が好調を持続すると見込んでいることが好決算の要因だが、この先のビジネス拡大は、アジアが握っているようだ。

柳井正会長兼社長は8日の決算発表時の会見で、アジアを最大の成長機会と位置づけ「本格的な利益貢献が始まる」と述べた。同社は2010年春には上海に世界最大規模のグローバル旗艦店をオープンさせる。

中国本土や香港などから日本国内への旅行客の中には、東京でユニクロに行き、大量に購入して帰国するパターンがはやっているという。縫製は中国で行われている製品が多いのに、どうしてそんなに人気なのか。その秘密は、ユニクロブランドが中国で高付加価値として浸透していることにあるらしい。

ある国内市場関係者によると、今、香港では日本ブランド・ブームが起きているという。香港在住者から説明を受けたその市場関係者は「衣料品や化粧品などの日本製ブランドが、かつての日本での舶来ブランドのようにもてはやされている」と話す。

さらにそのブームは、1次産品にまで及び始めているという。「果物は糖度が高く、乳製品に農薬が混入している心配もない。高級中華料理に欠かせない干しナマコも、安全性の観点から日本製の人気が非常に高まっている」と先の市場関係者は述べている。

さて、国内に購買力がなく「売れなくて困っている」と言うため息が、内需型産業から漏れている。こうした経営者は、アジアの日本製ブランドブームに気づいているのだろうか。

ビジネスは、情報の収集力と感度が重要な要素になる。今まで外国に目を向けることがほとんどなかった農業は、もっと国内商品の美点に気づいたほうがいい。アジアの消費者を意識したビジネス展開が、日本の産業に活気を与えることになると予測する。楽観的過ぎるとの反論も出てきそうだが、どうだろか。

(写真/ロイター)

2009年07月21日

「0円ビジネス」花盛り、明暗もくっきり

Posted by: 伊賀大記

不景気とあって消費者がモノやサービスを受け取るのにお金が要らない「0円ビジネス」が花盛りだ。喫茶店、コピー、デジカメのプリントなどなど、さまざまなアイデアビジネスが街に溢れている。ただ資金面を全て担うスポンサー企業にとっては相当なコスト負担となるため、事業を継続するのはたやすくない。マンガ雑誌、自動コーヒーマシーン、サンプル商品の提供などなど、これまでも、いろいろな「0円ビジネス」が現れては消えていった。

一方、しっかりと消費者とスポンサー企業を両方、満足させてビジネスを継続するケースもある。その違いは何か──。

「0円ビジネス」を資金面で支えるスポンサー企業の要求レベルは高い。何せ広告料金だけでなく、雑誌であれば編集者の給料・印刷代・配送費などすべて負担しなければならないのだ。少々、商品の売り上げが伸びた程度では満足してもらえない。「カネを払いたがらない客」にたくさん買ってもらうという、なかなか難しい命題を「0円ビジネス」は宿命として抱えている。

igablog

(霞ヶ関にあるフリーカフェ「播磨屋ステーション」)

2007年1月に創刊した「コミック・ガンボ」は日本初の無料マンガ雑誌として鳴り物入りで登場したが、1年もたたずに休刊となった。有名漫画家などをそろえたが、スポンサーに対し高額なコストを上回るようなリターンを提供できなかったことが要因だとみられている。

一方、タダでもらえる雑誌で最も成功したのは「R25」だろう。25歳前後の男性を対象に50万部の発行部数を誇る。「とらばーゆ」「ホットペッパー」など0円雑誌の草分けである「リクルート」が手がけるだけあって2004年の創刊から4年以上も続いている。

マーケティングが専門であるMBA Solutionの安部徹也社長は、「0円ビジネスを成功させるには継続的に資金を出してくれるスポンサーを探すことができるといった組織力、営業力が欠かせない。リクルートは雑誌の配布方法などを含め長年の経験ノウハウを持っているのだろう」と話す。

ただ「R25」も創刊当初の発行部数60万部に対してはやや落ち気味であり、当初は発行日の木曜夕方にはすべて棚から消えていたが、最近では翌日以降も見かけるようになった。携帯電話サイト「R25式モバイル」が7月いっぱいで終了することになるなど、景気低迷が長引く中では必ずしも順風満帆とはいかないようだ。

東京の官庁が立ち並ぶ霞ヶ関にあるフリーカフェ「播磨屋ステーション」。播磨屋は兵庫県が本店のおかき・せんべいメーカーだ。フリーカフェではおかきやせんべいが10種類ほどタダで食べれるほか、コーヒーや紅茶、オレンジジュースなども自由に飲むことができる。

マーケティングには「返報性の原理」という法則がある。タダで商品やサービスを受けたら、そのままでは悪いという気持ちになり、何かお返ししようとする、という行動心理だ。

フリーカフェのなかには、店内には商品販売のコーナーがあり、気に入ったおかきやせんべいは、すぐにその場で購入できる。平日の夕方、フットサルができそうな広い店内には多くの女性客やサラリーマンが訪れており、販売コーナーで注文する客の姿も目立った。人間は、特に食べ物をもらうと、いわゆる「一宿一飯の恩義」を感じ、お返ししなくてはという気持ちが強く出やすいという。

「0円ビジネス」には消費者の心理をくすぐる、したたかな戦略も欠かせない。

2009年07月14日

国産車から失われたカリスマ

Posted by: 児玉成夫

国内自動車販売の減少が止まらない。昨年秋以後の大幅下落は、金融危機によるところが大きいが、それを差し引いても長期下落傾向は明白だ。

軽自動車を除く乗用車の2008年の販売台数は281万台で、ピークだった1990年から35%も減った。好調な軽を含めても17%減だ。

こうした傾向は、人口減少、若者の支出の携帯電話へのシフトなどがよく理由に挙げられる。バブル以前と比べると、自動車が単に「足代わり」「下駄代わり」になり、人々(特に若者)のあこがれの対象でなくなったという国産車のカリスマ性喪失の影響も大きいようだ。かつては「いつかはスカイライン」「いつかはクラウン」などと言ったものだが、めっきり聞かれなくなった。

一方で、欧州車を中心に外国製の自動車はまだ、そのカリスマ性を維持しているようだ。なぜ国産車はせん望の対象でなくなったのか。

1つには、あまりに没個性的な車作りがあるのではないか。それがよくわかるのがスタイルだ。どの車も同じような形で、特に前面からだけ見た場合、車種の識別が非常に困難になっている。空気抵抗軽減、燃費改善などためスラントノーズ(フロントグリルの下部が出っ張った形状)の導入が拡大してからは、スタイルの同一化に一段と拍車が掛かったようだ。

AUTOSHOW FORD

失われた個性、カリスマ性を取り戻すのは容易ではなさそうだが、ビッグスリーでただ1つ生き残ったフォードのマスタングの成功は、ひとつのヒントになりそうだ。最近は街で新型マスタングの姿を見ることが多くなってきた。

マスタングは70年代前半のマッスルカー全盛時に若者のカリスマとなったものの、それ以後はオイルショックの影響もあり次第に小型化、カリスマ性も失なわれた。

現在のマスタングは6代目。小型化こそしたものの、初代のデザインを強く意識したものだ。フロントグリルの上部が突き出た逆スラントノーズといえるデザイン。空力効率はやや犠牲になっているのだろうが、サメを髣髴(ほうふつ)とさせる精かんなスタイルで魅力をアピール、マイナス面を克服している。久々に「アメ車」らしい「アメ車」に出会ったと感じたのは、筆者だけではあるまい。

国産車メーカーは、世界的経済混乱が収集すれば、日本市場は低調のままでも、新興国相手に十分やっていけると考えているのかもしれないが、国産車のカリスマ復活、さらに市場活性化にもうひと工夫欲しいところだ。

テレビでは城山三郎氏の代表作である「官僚たちの夏」の放映が始まった。通産省(現経産省)の官僚と企業が一体となって、外車の性能に追いつき追い越すことを目標に、必死に国産車を育成する姿が描かれている。50年以上前の話で隔世の感もあるが、今一度その姿勢を思い出してみてもよいのではないだろうか。

「特集 自動車産業の未来」はこちらから

(写真/ロイター)