ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年06月26日

バーナンキ自身の出口戦略は?

Posted by: 田巻一彦

FINANCIAL/BANKOFAMERICA米連邦準備理事会(FRB)が25日に一連の金融資金融資制度と各国中銀との通貨スワップ協定を2010年2月1日まで延長すると発表するとともに、マネー・マーケット・ファンド(MMF)向け資金供給措置であるマネー・マーケット・インベスター・ファンディング・ファシリティー(MMIFF)は、10月以降延長しないことを公表した。

マーケットの一部には、FRBが超緩和政策の出口戦略を開始したのではないかとの思惑が浮上したが、FRB高官は記者団との電話会見で、出口戦略の発動かどうかへの質問にコメントしなかった。

ただ、マーケットの中銀ウォッチャーの多くは「これまで出してきた流動性を本格的に絞ろうという意図はなさそうだ。自然体で減る部分は、無理に継続しないスタンスだろう。直ちに出口戦略を発動し、年後半か来年初めに利上げするというシナリオではない」(国内金融機関の関係者)とみている。

ところが、ここにきてFRBをリードしてきたバーナンキ議長に大きな疑惑が浮上してきた。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に対して、メリルリンチとの合併を止めた場合、バンカメの経営陣を更迭すると迫っていたのではないかという問題だ

米議会の公聴会では、リッチモンド地区連銀のラッカー総裁が書いた電子メールを、議員らが有力証拠として引用した。そのメールでは、バンカメが合併から手を引いた場合、支援が必要となった際に経営陣が職を失う可能性があることを明確にする計画をバーナンキ議長がラッカー総裁に示した、としている。

25日の米下院監視・政府改革委員会の公聴会で証言したバーナンキ議長は、バンカメ経営陣を更迭すると脅迫していないと語ったが、電子メールの件では、会話の詳細について覚えていないと述べた。

ホワイトハウスは25日、バーナンキ議長の業績に信頼を置いているとの見解を示した。だが、米議会の中にバーナンキ議長への疑惑を追及し続ける動きがある中で、2010年1月に議長の任期が来る同氏の再任には、大きなハードルが現れたかたちだ。

もし、再任されない場合の議長候補として、米政界ではサマーズ米国家経済会議(NEC)委員長の名前が出ているが、オバマ大統領に近い筋からは、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏の名前も上がっている。

超緩和政策の出口の前に、バーナンキ議長の出口が先に来ることはないだろうか。

(写真/ロイター)

2009年02月12日

米金融システムの闇

Posted by: 田巻一彦

US Treasury Secretary Timothy Geithner

ガイトナー米財務長官が10日に新しい金融安定化のための対応策を発表したが、米株式市場は失望感をあらわにして大幅下落となった。11日の市場は小康状態を保ったものの、オバマ政権の打ち出す金融システム対策への視線は、これまでに比べ厳しさを増す可能性が高まってきた。

マーケットが失望した点は、いくつかあるようだが、官民共同で資金を拠出して設立し、不良債権などを買い取るファンドの詳細が明らかにされなかったことが大きく響いているらしい。

10年前の日本の不良債権処理を陣頭指揮した前金融庁長官の五味廣文氏は、12日朝の民放テレビの中で、今回のスキームでは、米金融機関にどのくらいの不良債権があって、どれくらいの損失が生じるか、すぐにははっきりしないために、マーケットに疑心暗鬼が生じた、と指摘していた。

米国の金融システムや金融界の状況に詳しいある国内市場関係者は、米金融機関の保有する不良債権と損失額が膨大で、早期に処理しようとすれば、米の財政力ではカバーできないことを市場から見透かされるリスクがあるため、意図的にゆっくりと処理する作戦に出た可能性が高いと指摘している。

オバマ政権とも近いクルーグマン・プリンストン大教授は、米テレビ番組の中で、米金融システムの抱える損失額は、1.5兆ドルから5兆ドルのレンジで生じる可能性があると述べたという。

先の市場関係者は、今後発生する米住宅価格の下落で生じる住宅ローンの価値目減り分だけも、5兆ドル程度が不良債権化する可能性があり、その上にオートローン、教育ローン、クレジット・カードの不良債権化まで含めれば、潜在的な不良債権の規模は、相当な規模に膨れると分析している。

バッドバンクを設立し、不良債権を厳格に査定した上で、銀行から不良債権を切り離すと、大幅なロスが確定し、その銀行は資本不足に陥る。米当局は大規模な公的資金が必要になり、米銀には国有化という問題が生じる。この2つの現象を早期に発生させないための対応策と考えると、つじつまが合わないだろうか。

しかし、ゆっくり処理すれば、負担が膨らみ、金融システムと経済自体もなかなか回復できなくなる。それは日本の経験が証明済みだ。米金融システムの闇は、東京で見ているよりもずっと深いと予測しているが、この見方は厳し過ぎるだろうか。

(写真/ロイター)