308議席と成長ビジョン
308議席は言い訳が許されない数字だ。
衆議院選挙は民主党の圧勝劇に終わったが、これは有権者の期待が大きいことに他ならない。期待を裏切るようであれば、厳しい批判にさらされる。
選挙戦の最中、民主党のマニフェストが修正された。農家の票を意識した日米FTA(自由貿易協定)問題が注目されたが、選挙の洗礼を受けた以上、今後はこのような「書き直し」は許されない。財源問題から公約の実行を不安視する声もある中で、着実に政策を実行することが求められている。
不安と言えば、選挙結果を踏まえてマーケット関係者にヒアリングしたところ、民主党が日本の成長ビジョンをどう描くか不安に思う向きが多かった。これは「書き直し」どころか、マニフェストの原案に明確な記載がなかったためとみられる。
市場では、次期首相となる鳩山由紀夫代表がその所信表明演説において、国の成長にどう言及するのか注目する声が高まっている。そこで確固たるビジョンが示されなければ、マーケットは早くも政権に「NO」を突きつける可能性もある。
鳩山代表が掲げる「友愛」は抽象的で、理解力に乏しい筆者は、そのフレーズが成長ビジョンにどう結びつくのかわからない。
しかし、はっきり言えるのは、国全体が富まなければ、示された政策の長期間にわたる実行に無理が生じてくる点だろう。「友愛」が経済政策にとって霞(かすみ)のようなものであるならば、将来に対する不安は一段と増す。
モルガンスタンレー証券・経済調査部長、ロバート・アラン・フェルドマン氏は「政治的合理性と経済的合理性は異なる」と指摘、これまで民主党は政権交代に力点を置く政治的合理性を優先してきた点から、新政権下で成長戦略が不在になりそうなことに危惧を示していた。
国の成長ビジョンについて明確に語るのは政権党の義務。この点も308議席の期待に当然のことながら含まれると思われるのだが──。
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(写真/ロイター)


