ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年08月12日

「もうはまだなり、まだはもうなり」

Posted by: 水野文也

stocks気が付けば日経平均は1万円を回復、さらに上値を追う展開となっている。こうした今のような相場こそ「もうはまだなり、まだはもうなり」──という先人の知恵に学ぶ局面かもしれない。

これは「宗久翁秘録」や「八木虎之巻」といった江戸時代の相場秘伝書に記述が見られ、株式投資をかじったことがある人なら誰もが一度は耳にするだろうと思われる古典的な相場格言だ。

「宗久翁秘録」の原文を引用すると「もうはまだなり、まだはもうなりということあり。ただし、数日もはや時分と思い取りかかりたるに、見計い悪しければ間違いになるなり。まだまだと見合わせ居るうちに遅るることあり」

今の相場について語れば「3月の最安値から5割以上も上昇したため、もう天井とも思えるが、まだ上値があるのではないか」──となるだろうか。過去の経験則では、大底から5割上昇すると半年程度の調整を入れるケースが多く、これが「もう」と感じさせる。

他方、業績予想について上方修正数を下方修正数で割ったリビジョンインデックスはプラスをキープしており、収益回復期待は依然として大きいほか、チャート上で日経平均は時価水準から1万2000円前後まで真空地帯となるなどテクニカル面からは上値余地が感じられる。これらが「まだ」の根拠になっているようだ。

もう1つ、ここで思い出したいのが、米国の著名投資家であるジョン・テンプルトンが残した「強気相場は、悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成長し、幸福の中で消えていく」という名言。

主力銘柄であるパナソニックやトヨタが上半期の業績見通しについて上方修正しながら、下半期以降を慎重に予想した点などから、現在は「懐疑」も残っているとみることもできるが、少なくとも今の相場は「悲観」する段階でないことだけは確かだろう。

とは言え、マーケットでは次第に強気の見方が次第に増えてきた。このまま堅調な地合いを続けた場合、「幸福」には至らないまでも「楽観」に傾きそうな状況。古に従うと、このまま「まだ」の空気が支配するようなれば危険となる。

押しそうで押さない現在の相場、あなたの見方は「もう」それとも「まだ」?

(写真/ロイター)

2009年06月23日

世銀とIMFと米経済

Posted by: 田巻一彦

ECONOMY-ZOELLICK/世界銀行が22日に発表した2009年と2010年の経済見通しで、09年の世界経済や米国はじめ主要国の成長率が下方修正され、同日の米株は大幅に下げた。

東京市場の取引時間中に発表されたにもかかわらず22日には反応せず、米株の下落を受けて23日午前の日経平均が300円以上も下げたのは「主体性のない東京株式市場の本質をさらけ出した」(国内証券の関係者)とも言えるが、米株市場も迷っているのではないか。

USA/

先週、国際通貨基金(IMF)が09年と10年の米経済見通しをそれぞれ4月時点から上昇修正し、リプスキー筆頭専務理事が10年の世界経済・成長見通しを上方修正する可能性があるとの見解を示していたからだ。

ギャップが生じている世銀とIMFの見通しのどちらが正しいか──。「神のみぞ知るですね」(外資系証券)との声がマーケットの本音だろうが、足元の生産減少の緩和に視点を置くIMFの見方が現実化するのか、それとも大きな陥没をみせている世界経済は、09年にはかえってマイナス幅が拡大していくのか。

ある邦銀関係者は「米株の期待先行度は、日本株に比べて高い。日本のGDPは4─6月に前期比・年率で2%台のプラス成長が期待できるが、米国のプラス転換は早くて10─12月期だろう。その基盤の弱さが、悪い材料への反応の大きさにつながっている」とみる。

米経済を予測する場合、もう1つ見逃せないのが金融システムの機能不全だ。19日の投稿へのasagao777さんのコメントの中に指摘されていたように、不良債権の最終処理には相当のコストがかかる。ところがどうも、米銀はそれを忌避しているようにみえる。

米銀動向に詳しい別の外資系証券関係者は、公的資金を返済した10の米銀の本音は「不良債権処理の先送りにある」と指摘する。公的資金さえ返済すれば、不良債権の処理で米当局からとやかく言われることはない。時価会計基準が棚上げされ、処理しなければ不良債権問題で、新たな損失は出ない。しかし、処理すれば処理損が発生し、自己資本をき損することになるため、景気が上向くまでこのまま不良債権を塩漬けにする──という戦術だというのだ。

しかし、これが本当なら、資金需要が盛り上がり始める景気回復時に金融面からサポートできないリスクが発生する。銀行が貸せないので企業は投資できず、景気が失速する、というシナリオはそれなりに現実味があると思うが、どうだろうか。

(写真/ロイター)

2009年06月12日

株高の先にある風景

Posted by: 田巻一彦

MARKETS-STOCKS/日経平均が11日にザラ場で1万円を回復し、12日は終値でも1万円台に乗せた。市場関係者だけでなく、政策当局の中にも実体経済の回復を反映した株高という見方が広がっている。

実際、足元の日本経済の回復ぶりは政策当局の予想よりも速かったようで、年内は前期比ベースで年率2%の成長が続きそうだとみられている

だとすると、株高はさらに続くことになるのだろうか。ロイターが聞いた市場関係者の中には、1万2500円程度までの上昇を見ている向きもある

一方で、実体経済の先行きに確信が持てないという声も、少なくない。1つは各国の財政出動が出尽くした後に、世界経済をけん引する新たな力があるかどうか──という点だ。

各国の政策担当者は、表向きその点について悲観的なことに言及していない。それどころか週末のG8財務相会合では、財政面からの非常対応に対する出口論が議論される見通しだ。

だが、好調を伝えられる中国では、早くも素材関連の在庫が積み上がり始めたという非公式な情報が、商品関係者を中心にささやかれているという。

また、米国でも商業銀行の本業とも言うべき融資分野で、いわゆる不良債権の新規発生が目立ってきているとの見方も出ている。日本の政策当局者の中には「米景気は下げ止まりを確認できない」との声が多い。

福井俊彦・前日銀総裁は11日、市場も「先行きにまだ確信を持っているわけではない」と述べた。果たして、この株高の先には何が待ち受けているのだろうか──。

(写真/ロイター)