「もうはまだなり、まだはもうなり」
気が付けば日経平均は1万円を回復、さらに上値を追う展開となっている。こうした今のような相場こそ「もうはまだなり、まだはもうなり」──という先人の知恵に学ぶ局面かもしれない。
これは「宗久翁秘録」や「八木虎之巻」といった江戸時代の相場秘伝書に記述が見られ、株式投資をかじったことがある人なら誰もが一度は耳にするだろうと思われる古典的な相場格言だ。
「宗久翁秘録」の原文を引用すると「もうはまだなり、まだはもうなりということあり。ただし、数日もはや時分と思い取りかかりたるに、見計い悪しければ間違いになるなり。まだまだと見合わせ居るうちに遅るることあり」
今の相場について語れば「3月の最安値から5割以上も上昇したため、もう天井とも思えるが、まだ上値があるのではないか」──となるだろうか。過去の経験則では、大底から5割上昇すると半年程度の調整を入れるケースが多く、これが「もう」と感じさせる。
他方、業績予想について上方修正数を下方修正数で割ったリビジョンインデックスはプラスをキープしており、収益回復期待は依然として大きいほか、チャート上で日経平均は時価水準から1万2000円前後まで真空地帯となるなどテクニカル面からは上値余地が感じられる。これらが「まだ」の根拠になっているようだ。
もう1つ、ここで思い出したいのが、米国の著名投資家であるジョン・テンプルトンが残した「強気相場は、悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成長し、幸福の中で消えていく」という名言。
主力銘柄であるパナソニックやトヨタが上半期の業績見通しについて上方修正しながら、下半期以降を慎重に予想した点などから、現在は「懐疑」も残っているとみることもできるが、少なくとも今の相場は「悲観」する段階でないことだけは確かだろう。
とは言え、マーケットでは次第に強気の見方が次第に増えてきた。このまま堅調な地合いを続けた場合、「幸福」には至らないまでも「楽観」に傾きそうな状況。古に従うと、このまま「まだ」の空気が支配するようなれば危険となる。
押しそうで押さない現在の相場、あなたの見方は「もう」それとも「まだ」?
(写真/ロイター)



