政府のデフレ宣言と日銀
政府が先週、デフレ宣言に踏み切った。24日の閣議後、主要な経済閣僚からは、日銀が何かすべきだと言わんばかりの発言が相次いだ。
藤井裕久財務相は「物価は金融の問題」と言い切り、亀井静香郵政・金融担当相は「日銀は相変わらず、寝てしまっている」と言い放った。
だが、白川方明日銀総裁は20日の会見で「需要自体が不足している時には、流動性を供給するだけでは物価は上がってこない」と述べている。
マーケットからは責任の押し付け合いで、日本の信認を下げているとの声も出ているようだ。実際、3連休明けの24日の東京株式市場は、前日の米株式市場が上昇したにもかかわらず、約1%の下げとなった。海外勢からは「円資産は嫌悪されている」(外資系証券の関係者)との声が出ている。
糸がからまったような状況だが、こういうときは現象を整理してみることが必要ではないか。
まず、緩やかな物価下落(デフレ)とデフレスパイラルは、別の現象であるということだ。物価と賃金、生産が連動して下がっていれば、正真正銘のデフレスパイラルだが、9月の鉱工業生産をみても生産は明確に上昇している。白川総裁は20日の会見でデフレスパイラルに陥っていないと表明した。
一方で物価が緩やかに下がれば、短期的には購買力が上がる。7─9月期の国内総生産(GDP)で個人消
費が伸びたのも、確かにエコカー減税の効果も大きかっただろうが、実質的な購買力の上昇も見逃せないだろう。
短期的には企業が抱えている社内失業者をはき出させないことが、デフレスパイラルに突入しないために欠かせない。厚生労働省によると、雇用調整助成金を申請した事業所が対象にしている従業員は、199万4383人に上る。
約200万人の雇用を維持し、さらに雇用を拡大させるために多様な面からアプローチした総合対策を打ち出し、その中に成長戦略も盛り込み、財政も支出を拡大させ、日銀も何らかの知恵を絞る──。
政府と日銀は、予算編成作業が本格化する前に本音をぶつけ合う場を設け、この閉そく感から抜け出せる対応策を出してほしい。
(写真/ロイター)


