ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年05月27日

消費者信頼感指数とケース・シラー

Posted by: 田巻一彦

USA/コンファンレンス・ボード(CB)が26日に発表した5月米消費者信頼感指数が6年ぶりの大幅な伸びを示し、マーケットには米景気回復期待が広がった

一方、同じ26日に発表された3月のケース・シラー住宅価格指数は前年比マイナス18.7%となっただけでなく、2009年第1・四半期は前年同期で過去最大の落ち込みとなったが、NY市場は大きく反応しなかった。

三菱東京UFJ銀行・外貨資金グループ・上席調査役の鈴木敏之氏は「CBのデータの大幅な改善は、意味が大きい。米景気が底打ちしたことを示している」と指摘する。鈴木氏によると、ミシガン大の調査との比較で、CBの調査には雇用が入っていることが特徴だが、心配されていた雇用のデータが好転しており、かなりポジティブな内容になっている。

他方、ケース・シラーの悪いデータは「すでに織り込まれており、よいニュースではないが、びっくりするようなニュースでもない」(外資系証券)とされ、26日のNY市場では、CBへのプラス評価にかき消された格好だ。

だが、市場関係者の中には、ケース・シラーのデータを注視している向きもある。「すでに06年に付けたピークから約32%下げているが、当面のメドの40%下げをブレークする可能性が出てきた」(国内証券の関係者)という声も出ている。

ある邦銀関係者は「日本での経験を持ち出すまでもなく、住宅価格の下落は金融機関の不良債権を増加させる。金融機関に経済のマイナス面が集約され、いずれ資本不足を背景に貸し渋りが表面化し、実体経済の足を引っ張る現象が出てくるだろう」と予想する。

2つのデータのどちらに比重をかけて解釈するかで、足元の米経済の様子や、この先のイメージがまるで変わってくる。NY市場での多数派の見方は果たして正しいだろうか──。

(写真/ロイター)

2009年05月12日

米楽観相場と「偽りの夜明け」

Posted by: 中川泉

USA/米株式相場は先週、大手銀行に対するストレステストの結果と雇用統計をプラス材料と受け止めて反発した。だが本当に景気が下げ止まり、底打ち・回復していく材料と見なしていいのか、日本の市場参加者の間には慎重な見方も多いようだ。

11日の東京株式市場で、海外勢の買いに対して国内法人の売りという構図になっていたことがそうした姿勢の違いを物語っている。

国内の市場関係者が慎重な姿勢を維持している背景には、やはり日本経済が1990年代に経験したバブル崩壊後の長い低迷期の教訓がありそうだ。

当時、景気が一時的に回復したように見えた状況を、白川方明日銀総裁が4月のニューヨーク講演で「偽りの夜明け」と表現したが、最近の楽観相場について、この表現を引用して解説するエコノミストもいる。

総じて国内エコノミストの米国経済への見方はまだ厳しい。ストレステストの結果について、みずほ証券では「米大手銀行の損失算定根拠は甘い」と断じている。前提となる景気認識について、今後の動向を見なければ判断ができないというのは当然の指摘だろう。 

雇用統計にしても減少ペースがやや緩和したと受け止められているものの、自動車産業でのリストラも控えており、第一生命経済研究所は「今景気後退局面では、700万人以上の雇用減少が予想され、現在の景気刺激策で想定される雇用創出・維持数で相殺することが不可能な状況」と指摘する。

確かに世界経済は、在庫調整の進展や各国の経済対策により企業の生産活動が底なしに落ち込む局面からは変化している。しかし、金融危機の前と後では、人々の行動、そしてそれに伴う需要の伸びや中身も変わっているとすれば、雇用や設備の調整は長引くとみるのが適当ではあるまいか。景気が底打ちから本格回復するまでには、それなりの時間がかかるとみておいた方がよさそうだ。

欧米の市場関係者が今回の金融危機にこれだけ大きなショックを受けながら、楽観相場に引きずられて再び以前と似たような投資行動をとるならば「偽りの夜明け」に、また足をすくわれることにならないだろうか。

(写真/ロイター)

 

 

2009年05月07日

バーナンキ見通しの的中率

Posted by: 田巻一彦

USA/「買わない海外勢と動かない個人投資家」と4月24日に投稿したが、大型連休中に米株が大幅に上昇したことを受けて、7日の日経平均は9300円台に上昇した。「買えていなかった機関投資家などの国内勢が、あわてて買ってきたようだ」(国内証券の関係者)との声が市場では漏れている。

東京市場の参加者が材料視した米株上昇の背景には、日本時間の8日午前6時に発表されるストレステスト(健全性審査)への楽観的な見通しだけでなく、米景気の先行きへの期待感の醸成があるようだ。

「これが大きかった」(外資系証券の関係者)と指摘されているのが、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言だ。年内に景気が上向く可能性を指摘し「中銀議長としては異例のリスクを取りに行く発言をした」(邦銀関係者)という見方も、市場で出るほどだった。

「全員参加型の相場上昇」(真壁昭夫・信州大教授)との指摘が出ている足元での株価上昇は、どこまで続くのか。日経平均の当面の上値メドは9500円という声が多いようだが、「白川日銀総裁の指摘した偽りの夜明けである可能性も否定できない」と真壁教授は指摘する。

7日の東京市場では、個人投資家の戻り売りが日経平均の上値を重くしたとの声も出ていた。バーナンキ議長の見通し的中率は、何パーセントぐらいだろうか。

(写真/ロイター)