米国による時価会計基準緩和の功罪
ゴールドマン・サックスやウェルズ・ファーゴなどの2009年第1・四半期決算が好調だ。米株式市場は、それぞれの決算発表直後に好感し、相場全体もいったん上昇した。
だが、2つの金融機関は明言していないが、この決算好調の背景に「時価会計基準の緩和」の効果が働いているのではないか、との見方が金融市場でささやかれている。
米財務会計基準審議会(FASB)は今月2日、時価会計基準の緩和を決めたが、適用時期に関しては、第1・四半期決算からでも可能とされた。
米国の金融市場動向に詳しいある国内市場関係者は、時価会計基準が緩和されたことで「米金融機関の経営の実態が、市場参加者の目から隠されることになった」と指摘する。その上で「適切な投資行動を市場の参加者が行える前提は、正確な情報の開示だ。現在の市場混乱の根本にあるクレジット市場を中心にした損失の実態を隠したままでは、投資家に不利益になる」と述べている。
米市場関係者の中にも「米銀がゾンビ企業だとのイメージを強めるだけだ」との批判がある。
一方で、時価会計基準の緩和は、株価の急落を回避し、実体経済が回復するまでの時間を稼ぐメリットもあるという“擁護論”も、市場には存在する。米国による時価会計基準の緩和は、やむを得ない措置だったのであろうか。
(写真/ロイター)


