ロイターブログ

討論×闘論

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2009年10月28日

長期金利上昇と鳩山政権の本気度

Posted by: 田巻一彦

JAPAN/長期金利の上昇が目立ってきた。28日に付けた1.420%は、絶対水準としては決して高くないが、1.240%まで低下した10月6日からわずか20日あまりで0.2%近く上昇したことになる。

つい最近まで円債市場には「景気の先行きがぱっとせず、金余りなので国債に資金を振り向けざるを得ない」(大手銀関係者)という声が満ちていた。

そのことを思えば、マーケットのムードはかなり様変わりしてきたと言える。

大きな点は、鳩山由紀夫政権の政策運営スタンスに関する疑念が、ジワリとマーケットに出てきたことではないだろうか。

20日の投稿でも指摘したことだが、2009年度は税収不足で6兆円超の穴が空きそうで、赤字国債で対応する方向だ。すでに麻生太郎政権の下で09年度に44兆円の新規国債を発行しているので、合計で50兆円を超す公算が大きい。

さらに2010年度は、概算要求額が95兆円に膨れ上がり、税収を40兆円とかなり多めに見積もっても、55兆円が不足する。藤井裕久財務相は、新規国債発行額を44兆円以下にするといっているものの、歳出が95兆円規模とすると11兆円、92兆円規模まで切り込んでも8兆円が足らずまりとなる。

しかし、今までののところその差額をどういった手法で埋め合わせるのか、鳩山政権から具体的な話は出てきていない。先の投稿では特別会計にメスを入れて、財源を確保する可能性を指摘した。

いただいたコメントの中には、メスではなく、なたを振るうことが期待されていたのに「もう事を荒立てないような印象を受けてしまいます」との指摘もあった。

市場心理を悪化させた要因として、日本郵政公社の新社長に斎藤次郎・元大蔵事務次官を起用した人事があるかもしれない。「官僚政治からの脱却」を掲げながら、社長・副社長に大蔵・財務官僚のOBを起用する鳩山政権に「歳出膨張を止める政治力はないとの失望感が、市場の一部にはある」(邦銀関係者)という見方が、国債の信認へのダメージになっているのではないか、との見立てだ。

大臣になって、省庁の利益を代弁するような発言も出てきた。やはり、来年度予算編成で特別会計の闇に切り込めるのかどうかが、鳩山政権にとっての大きなハードルであり、試金石でもあるようだ。

(写真/ロイター)

2009年10月20日

予算編成の命運握る特別会計

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-ECONOMY/FUJII鳩山由紀夫政権が、発足1カ月でいきなり正念場を迎えている。「百年に一度」の世界大不況のあおりを受け、税収が大幅に減っており、2009年度は見込みに比べ6兆円超の不足になりそうで、これは赤字国債の発行で手当てされる方向だ。

2010年度に関しても、予算の概算要求は95兆円に膨れ上がり、09年度当初予算の88.5兆円を6.5兆円も上回った。鳩山首相や藤井裕久財務相は92兆円以下への切り込みに意欲を示すが、仮に税収を最大限多めに見積もって40兆円とすると、52兆円が足りない。

藤井財務相は19日、共同通信などに新規国債発行額を44兆円以下に抑制したいと明言した。この発言を本当に守るなら、約8兆円が足りない計算だ。

補正予算の見直しで約3兆円を確保したが、相当な規模の“足らずまり”が発生することは間違いない。ここが埋まらないと、予算編成ができない。編成が円滑に行かないと、細川護熙政権のように内閣が弱体化する前例があり、民主党内にもこのときの「トラウマ」が相当深く刻まれている。

正念場を迎えたというのは、そういう意味だ。だが、主計局の経験が長く、予算編成に精通している大蔵省(現財務省)OBの藤井財務相があえて「44兆円の国債発行」というシーリングを持ち出したということは、目算があると判断したからではないか。

そこで注目されるのが、特別会計の存在だ。いわゆる「霞が関埋蔵金」は、麻生太郎政権時の09年当初予算の段階で9兆1510億円を“掘り出し”て、一部では枯渇しているとの指摘が出ている。

これまで聖域扱いされてきた年金特会の中の事務費のカットなども検討されるのではないかとの報道も出てきているが、様々な分野で税収の一部が特会にプールされ、省庁に関連する団体への支出に充当されてきたというケースも多く、そうしたカットできる部分がいったいいくらになるのか、まだ当局から正式な見解は出ていない。

公益法人の内部留保や基金の取り崩しも検討されているようだが「一般会計と特別会計を合わせた207兆円の中から無駄を省く」としていた民主党のマニフェストが、実現されれば予算編成の道筋はかなり見えてくる。

やはり総選挙前から予想されていたように、特別会計へのメスの入れ具合が、鳩山内閣の行方を大きく左右することになった。既得権益に切り込めるかどうか、鳩山内閣の真価が問われる。

(写真/ロイター)

2009年09月16日

藤井財務相は新政権の切り札か

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-POLITICS/本格的な政権交代が、戦後初めて実現した。鳩山由紀夫内閣の発足で何が変わるのか。今後、様々な報道が交錯するだろうが、民主党の政策を実現するために乗り越えるべきハードルは何といっても財源問題だろう。

無駄づかいを見つけ出し、子ども手当や高速無料化などの政策実現に振り向けることができなければ、政権は安定度を失っていく。

そこで注目されるのが、藤井裕久・民主党最高顧問の財務相就任だ。財務省出身で予算編成の裏表を熟知し、民主党幹部の一部でトラウマにもなっている細川政権下での越年予算編成と政権弱体化を回避できる切り札として、鳩山新首相が周囲の根強い抵抗をはねのけて実現した人事とされる。

だが、藤井財務相の目指しているのは、それだけではなさそうだ。塩川正十郎元財務相が「すき焼き」と表現した特別会計の潤沢な資金繰りと、複雑怪奇な構造に切り込む意欲がある、との見方が同党内にはある。

特別会計の埋蔵金と言えば、すぐに外為特会などが挙げられ、1回きりの財源にしかならない、と批判される。しかし、毎年、ざまざまな項目で上がってくる税収やその他の収入が複数の特別会計にプールされ、多額の使い残しが存在していることは、これまでほとんど報道されてこなかった。

新政権が特別会計の情報をこれまで以上に公開し、複雑な資金の流れを国民の目の前に示すことができれば、新しい政策を実現するための大きな一歩を踏み出すことになるのではないか。

藤井財務相がどのようなリーダーシップを発揮するかで、「改革派」の巨頭なのか、身内に甘い「守旧派」なのか明らかになるだろう。

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(写真/ロイター)