ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年08月28日

新政権と市場の対話

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-ELECTION/衆院選の投開票日が30日に迫った。国内メディアの世論調査では、民主党が優勢のまま終盤を迎えたようだ。結果は投票箱のふたが閉まるまでわからないが、仮に民主党が過半数を握って新政権が発足したとして、市場はどのように反応するのか考えてみたい。

ロイターの事前の取材によると、民主党政権では赤字国債の増発リスクが意識されやすくなり、外為市場では円高が進むイメージが醸成されているという。だが、足元の市場では、長期金利が1.3%前後に低下し、ドル/円は93円台とやや円高方向に進んできているが、今のところ加速する気配はない。

ある邦銀関係者は「日本の総選挙で民主党政権が誕生するインパクトよりも、世界的なカネ余りによる株高/債券高の過剰流動性相場を意識する見方が、市場への影響力を強めている」と話す。

とは言うものの、30日の投開票日から何日たっても、新政権の政策の方向性が明らかにならなければ、市場から「新政権の政策実行能力をいぶかる声が出てきてもおかしくない」(別の邦銀関係者)という見方が出ている。

実際、そうした政治の空白が生じる下地は、すでにできかけている。国内メディアによると、首相を選ぶ特別国会は9月14日の週に召集される公算が大きく、総選挙の結果で政権交代が決まっても、新政権の正式な発足まで約2週間かかる。

その間に新首相や新しい与党から、この先の政権の政策ターゲットや実行までの「計画表」が全く示されなければ、市場との蜜月期間なしに「海外勢の株売りというかたちでマーケットの洗礼を受けるだろう」(外資系証券の関係者)という予測も出てきている。

民主党には政権担当という実績がないだけに、仮に政権を取った場合、「説明能力」がこの先の政権運営に欠かせない要素となるだろう。9月末の株価が8月末と比べて上がっているのか、下がっているのか。あなたなら、どう考えますか。

(「総選挙特集」で最新関連ニュースをご覧いただけます)

(写真/ロイター)

2009年07月17日

「子ども手当て」考

Posted by: 水野文也

子育てしている世帯にとっては朗報となる「子ども手当て」、来る総選挙で民主党政権となった場合、いよいよ現実のものとなりそうだ。

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16日付け日本経済新聞が報じた、民主党マニフェストの概要によると、子ども手当ては0歳から中学卒業まで1人あたり月額2万6000円、年額31万2000円を支給するという。中学を卒業すると、手当ては打ち切られるが今度は高校無償化だ。

その一方で、所得税の扶養控除(0歳から15歳まで)、配偶者控除は見直すとある。

株式市場では、子ども手当ての効果を期待する声が多い。実際、総選挙において民主党が勝利するとの見方が広がるにつれ、子ども手当て関連株は相場全般が調整色を強める場面でも堅調となった。この政策の波及効果に対するマーケット期待の大きさをうかがわせている。

政策としての意義の大きさも注目されている。配偶者控除の見直しとのセットで考えれば、理論的には子育てしていない世帯から子育てしている世帯への所得移転と解釈することも可能。つまり「世の中みんなで子育てしている家庭を経済的にサポートして、少子化を食い止めるよう努力しましょう」──そう行間から読み取ることもできるからだ。

しかし、子育てが終わったり子どもがいない世帯はどうだろう。控除額を見直しとは言っても、ここで増えることは考えられない。減れば当然のことながら税負担が大きくなる。子育て世帯はトータルではプラスになるものの、反対にマイナスになる世帯があることも考える必要がありそうだ。

いわゆる「103万円の壁」もどうなるか注目点になる。頑張って働く奥様が増えるのだろうか。筆者は配偶者控除について配偶者の収入増により控除適用を除外した経験があるが、その調整分を年末調整時に、ごそっと給与から引かれて青くなったことが忘れられない。

子育て世帯には歓迎される政策と思われるが、全体として「みんなでサポートしましょう」が受け入れらるかどうか──。足元の各種世論調査では、民主党の支持が自民党支持を圧倒しているが、果たして、控除見直しによる税負担増の可能性を織り込んだら調査結果はどうなるか気になる。やはり「政権交代」のフレーズが勝るのだろうか。

「特集 政局の行方」で最新関連ニュースをご覧いただけます)

(写真/ロイター)

2009年07月13日

麻生首相の決断、その結果は?

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-POLITICS/麻生太郎首相が衆院解散を決断し、総選挙は8月30日に実施されることになった。

12日の東京都議選で自民党が48議席から38議席に10議席減らす惨敗を喫し、同党内には麻生降ろしの機運が盛り上がる兆しもあった。

その機先を制するように、麻生首相は自民党役員と公明党の了解を取り付け、21日ごろに解散するという。

この決断で、自民党内の麻生降ろしの動きは、事実上、封じ込められることになった。「オールマイティー」の内閣総理大臣の権能をフルに発揮したかたちだ。

自民党内には、先の閣僚補充人事で麻生首相の意向が十分に反映されなったとの声が多かった。今回も解散を決断できないまま、政権を投げ出す可能性を指摘する声が広がっていた。

それだけに解散の決断は、ようやく麻生首相の顔が見えた選択と言えるだろう。

だが、問題はその先の展開だ。麻生首相は先の日本記者クラブでの会見で、次期衆院選について「勝てると思う」と語った。

しかし、都議選で示された投票行動からは、明らかな自民離れが見える。残された時間はあと1カ月あまり。まだ、公表されていないマニフェストに基づいて、正々堂々と論戦し、民主党との違いを示して欲しい。

仮に下野することになっても、堂々とした野党の存在が、日本の議会主義の健全性を担保すると思う。日本の成長戦略や官僚制度がどうあるべきか、論争される選挙戦を期待するのは高望みだろうか。

(「特集 政局の行方」で最新関連ニュースをご覧いただけます)

(写真/ロイター)