ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年07月13日

麻生首相の決断、その結果は?

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-POLITICS/麻生太郎首相が衆院解散を決断し、総選挙は8月30日に実施されることになった。

12日の東京都議選で自民党が48議席から38議席に10議席減らす惨敗を喫し、同党内には麻生降ろしの機運が盛り上がる兆しもあった。

その機先を制するように、麻生首相は自民党役員と公明党の了解を取り付け、21日ごろに解散するという。

この決断で、自民党内の麻生降ろしの動きは、事実上、封じ込められることになった。「オールマイティー」の内閣総理大臣の権能をフルに発揮したかたちだ。

自民党内には、先の閣僚補充人事で麻生首相の意向が十分に反映されなったとの声が多かった。今回も解散を決断できないまま、政権を投げ出す可能性を指摘する声が広がっていた。

それだけに解散の決断は、ようやく麻生首相の顔が見えた選択と言えるだろう。

だが、問題はその先の展開だ。麻生首相は先の日本記者クラブでの会見で、次期衆院選について「勝てると思う」と語った。

しかし、都議選で示された投票行動からは、明らかな自民離れが見える。残された時間はあと1カ月あまり。まだ、公表されていないマニフェストに基づいて、正々堂々と論戦し、民主党との違いを示して欲しい。

仮に下野することになっても、堂々とした野党の存在が、日本の議会主義の健全性を担保すると思う。日本の成長戦略や官僚制度がどうあるべきか、論争される選挙戦を期待するのは高望みだろうか。

(「特集 政局の行方」で最新関連ニュースをご覧いただけます)

(写真/ロイター)

2009年07月02日

悲しき宰相の決断は?

Posted by: 田巻一彦

JAPAN-POLITICS/麻生太郎首相が1日、自民党役員人事を見送った。麻生首相は「私の口から党役員人事をやると言う話は、ただの1度も一言も聞いた人はいない」と1日に語ったが、主要紙の2日付朝刊はそろって「党人事を断念」と書いた。

日本国憲法で首相の権限は強大だ。だれからも罷免されない。内閣不信任案が可決されても、総辞職しないと決断すれば、解散して民意を問える。それなのに、どうして自民党役員人事を断行できなかったのか。

主要紙の多くは、党内最大派閥である町村派が同派の細田博之幹事長の交代に猛反対し、麻生首相も人事を断念したと伝えている。

もしもだが、麻生首相が町村派の反対を押し切って、側近の菅義偉・選挙対策副委員長を幹事長に抜てきし、きょう2日に解散していれば、自民党内は混乱しただろうが「麻生首相もなかなかやる」という声が、国民から起きた可能性があるのではないか。

権限がありながら、人事権を行使できないトップのリーダーシップが低下するのは、不可避と見るのが自然だろう。主要紙の2日の論調もおおむね同様だった。だが、解散のチャンスはもうないのか──。

イタリアで開催される主要国首脳会議(サミット)に出発する6日に解散する手は残っているのではないか。5日投開票の静岡県知事選で与党系候補が負ければ、6日から麻生降ろしが噴出するのは目に見えている。国内を留守にしている間に、反麻生の機運が大きく盛り上がることも十分予想される。その逆風下で主導権を握るには6日解散が、最後のカードになるかもしれない。

10日までのサミットを終え、帰国する麻生首相には12日の東京都議会議員選が待ち受けている。民主に第1党の座を奪われ、自民党が第2党に転落すれば、もう解散を打つ力を失う可能性が高まる。

麻生首相は、どのような決断を下すのだろうか──。

(「特集 政局の行方」で最新関連ニュースをご覧いただけます)

(写真/ロイター)

2009年06月25日

解散劇がクライマックスへ

Posted by: 伊藤純夫

1年近くも永田町劇場で続いてきた解散・総選挙をめぐる演目が、いよいよクライマックスを迎えようとしている。今週に入り、まさにその最終章にふさわしいシーンが自民党で相次いだ。

CLIMATE/JAPAN

1つ目は「骨太の方針2009」において、社会保障費の自然増分から毎年2200億円を削減する政府方針が、同党内の強い反発で撤回された。2つ目は、総裁選挙の前倒しに賛同する議員数が100人を超えたこと。

そして3つ目は古賀誠・選挙対策委員長が東国原英夫宮崎県知事に対して次期衆院選への出馬を要請し、出馬条件として同党総裁候補にすることを突きつけられたことだ。

それぞれキャストは違うが、いずれも「総選挙間近」というフィルターを通してみると、今の自民党の実態が浮き彫りになる。日本郵政の社長人事をめぐる混乱で麻生政権の支持率が急落し、党内が急速に浮き足立っているようだ。

麻生政権は昨年9月の発足当初から「選挙管理内閣」と位置づけられながら、世界的な経済・金融危機の中で「政局よりも政策」と訴え続けて、解散・総選挙を先送りしてきた。

その間、過去最大規模の補正予算を含む累次の経済対策を打ち出し、主要国の中で最悪の落ち込みとなった日本経済の底割れ回避に取り組んだ。「選挙目当てのばらまき」と批判されながらも、その政策は景気下支えに一定の効果を発揮したのは事実だろう。

JAPAN-POLITICS/

大規模な財政出動を行う一方で、選挙に不人気とされる景気回復後の消費税率の引き上げにもあえて踏み込み、危機的といわれる財政事情の下で日本の信認確保にも注力した。

日本の長期金利が1%前半という低水準で安定的に推移しているのも、麻生政権が中期的な財政再建の重要性を訴えていることと無縁ではないだろう。

今の自民党の迷走は、そうした政策努力を自ら覆い隠しているようにみえる。

党内では、社会保障費の削減撤回を号砲に、2010年度予算の概算要求基準(シーリング)の策定にあたって早くも公共事業の積み増しなどを求める声が強まっているという。骨太の方針では、新たな財政健全化目標を設定したが、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相流に言えば新調した「目標という旗」には、すでにほころびが目立ち始めている。

総選挙後の新たな舞台の主役を担うのが自民党なのか、民主党なのかはふたを開けてみなければわからない。ただ、この間、与野党を問わず見せられてきた「過剰な演出」に食傷気味の国民は多いと思われる。国民に希望を与えるシナリオをどちらが提示できるのだろうか。

(写真/ロイター)