「事業仕分け」の効果
12日の円債市場で長期金利が低下したが、それは鳩山由紀夫内閣が進めている「事業仕分け」への期待感が高まり、歳出削減への思惑が高まったからだとの見方が一部に出ている。
だが、邦銀関係者の1人は、この指摘に首をひねる。「確かに長期金利は1.3%台へと大幅に低下したが、事業仕分けを評価して円債先物や現物を買っていたと言う話は、あまり聞かなかった」と話す。
複数の市場関係者によると、12日に行われた5年債の入札では大規模な資金量を誇る国内金融機関が大量に買ったほか、大手都銀の一角も買いに回ったとの観測が出ていたという。入札後の市場動向は、ロイターの分析記事をみていただくとして、事業仕分けが直接的なインパクトを与えなかったことは、どうも確かなようだ。
さらに公開の場で、批判の矢面に立った官僚の様子をテレビのニュースやインターネットで見た人たちの中には「彼らがかわいそうな場面もあった」と、オープンな討論の中で当時者が批判されるシステムに反対であるとの声が出ている。
あるブログの中には、かつての中国・文化大革命当時の人民裁判に近いという感想もみられた。
だが、少し視点を引いて鳥瞰的にみると、国家予算と国民の目がこれほど接近したことは、かつてなかったのではないか、と言うことに気が付く。
小沢一郎・民主党幹事長が指摘したように、分厚い予算書を見て、特定の事業の有効性や無駄な支出を見破ることは、平均的な知識しかない普通の国民にとって至難の業(わざ)だ。
それがインターネットを通じ、全ての国民が特定の事業の中身や妥当性に関する議論について、アクセス可能になったのだ。自らが納税した税金の使われ方に関し、政府予算案の作成の段階からアクセスできることになったのは、「大きな進歩」ではないだろうか。
一部の新聞は、財務省主導で歳出カットが進むことを容易にする仕組みだと主張していたが、果たしてそれだけだろうか。ある金融関係者は「情報の公開こそが、特定の集団が利権をむさぼることを防止するために有効な手段だ」と述べていた。
「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」は、徳川幕藩体制を支えた基本的な支配原理だが、「一人一人に政道の内容を理解させるのは難しい」という発想から、ようやく抜け出して、妥当な政策を目指す動きのスタートになると考えるが、どうだろうか。
(写真/ロイター)


