増益予見させる生産回復
民主党の政権奪取という派手な動きに隠れ、地味な存在になっているが、足元の鉱工業生産は大方の予想よりも力強く回復している。8月31日の経済産業省の発表によれば、7─9月期に前期比プラス8%の高い伸びとなる可能性がある。
10-12月期もプラス3%前後になるとの予想がエコノミストから出ており、年内の生産失速、景気腰折れというというリスクは大幅に後退した。
この生産の強い伸びは、どこから来ているのか。データをみると、自動車や鉄鋼など輸出の好調さが生産をリード。自動車関連のタイヤ、金属製品、プラスチック製品なども増産基調だ。
こうした業種では、この先の収益上振れと業績予想の上昇修正の可能性が高まっているとみることができる。10月下旬から本格化する7─9月期の決算発表時点で、そうした動きが数字として出てくる可能性が高いとみていいだろう。
だが、その先の展開となると別の問題だ。複数のエコノミストは、足元の生産増は、在庫調整の一巡による現象であり、そこに主要国が採用した自動車販売などへの支援策の効果が上乗せされたとみている。そうした効果がいずれはがれ落ちた時に、最終需要がどうなるのか──。
直近の市場では、先行きの経済情勢にやや悲観的な見方も出始めた。2日の東京市場では、リスク回避の株売り/債券買い/円買いの動きが強まった。最近の相場で急上昇した株の利益を「とりあえず確定しようという動きが強まった」(大手銀関係者)ためだ。その背景には、来年の世界経済に強気になれない市場のセンチメントがあるという。
来年の最終需要をめぐる見通しは、この先、どうなるのだろうか。
(写真/ロイター)


