ロイターブログ

討論×闘論

ニュースに一言!

2009年09月02日

増益予見させる生産回復

Posted by: 田巻一彦

TOSHIBA/民主党の政権奪取という派手な動きに隠れ、地味な存在になっているが、足元の鉱工業生産は大方の予想よりも力強く回復している。8月31日の経済産業省の発表によれば、7─9月期に前期比プラス8%の高い伸びとなる可能性がある

10-12月期もプラス3%前後になるとの予想がエコノミストから出ており、年内の生産失速、景気腰折れというというリスクは大幅に後退した。

この生産の強い伸びは、どこから来ているのか。データをみると、自動車や鉄鋼など輸出の好調さが生産をリード。自動車関連のタイヤ、金属製品、プラスチック製品なども増産基調だ。

こうした業種では、この先の収益上振れと業績予想の上昇修正の可能性が高まっているとみることができる。10月下旬から本格化する7─9月期の決算発表時点で、そうした動きが数字として出てくる可能性が高いとみていいだろう。

だが、その先の展開となると別の問題だ。複数のエコノミストは、足元の生産増は、在庫調整の一巡による現象であり、そこに主要国が採用した自動車販売などへの支援策の効果が上乗せされたとみている。そうした効果がいずれはがれ落ちた時に、最終需要がどうなるのか──。

直近の市場では、先行きの経済情勢にやや悲観的な見方も出始めた。2日の東京市場では、リスク回避の株売り/債券買い/円買いの動きが強まった。最近の相場で急上昇した株の利益を「とりあえず確定しようという動きが強まった」(大手銀関係者)ためだ。その背景には、来年の世界経済に強気になれない市場のセンチメントがあるという。

来年の最終需要をめぐる見通しは、この先、どうなるのだろうか。

(写真/ロイター)

2009年07月30日

強い生産の先に滝つぼはあるか

Posted by: 田巻一彦

BRAZIL/30日に発表された6月鉱工業生産速報は、明るい材料をマーケットに提供した。4─6月期の生産はプラス8.3%、7─9月期もプラス7.4%になる可能性があり、春ごろに一部で心配されていた夏場の生産失速は回避されるとの見方がエコノミストの大勢のようだ。

ただ、問題はそこから先の展開だ。6月生産の強さの背景には、エコカーへの補助金など、経済対策の効果が含まれていると経済産業省も分析しており、この効果が切れる秋から年末にかけて、内需がどうなるのかという問題がある。

さらに心配なのは、日本経済のリード役である輸出の主要部分を占める米経済の動向だ。29日の投稿でも指摘したように、雇用の悪化に歯止めがかかっていない状況で、年末から年明けにかけて景気が回復に転じると断言できる状況ではない。

市場の一部では「10─12月期に消費不振を要因にした米景気の二番底形成もありうる」(邦銀関係者)との懸念も出ている。米景気が消費の不振をきっかけに失速するような展開になれば、自動車や電機といった業種が再び、打撃を受けるリスクが高まる。

日銀の野田忠男審議委員は30日の長野県松本市での会見で、生産はリバウンドの過程をたどっており、その先は不確実性が高いと指摘した。

外需が失速した場合の内需に関しても、厳しい雇用・所得環境の下で、個人消費が伸びる展開は可能性が小さく、消費不振─企業業績悪化─新たなリストラというスパイラルに落ち込むリスクもある。

強い生産の先に、大きな滝つぼが待ち構えていることがないよう期待したいが、果たしてどうなるだろうか。

(写真/ロイター)

2009年04月30日

光が見えた国内生産、その先には?

Posted by: 田巻一彦

GERMANY/3月鉱工業生産は6カ月ぶりの増加に転じ、プラス幅も市場予測を上回った。何よりもポジティブ・サプライズだったのは、4月、5月の予測値の強さだ。6月が前月比横ばいとすると、4─6月期の生産は前期比プラス5.9%という急反発になる。

ロイターコラムで第一生命経済研究所の熊野英生氏が分析していたように、最近の経済データをみると、景気は予想よりも早く景気回復が始まったようだ。30日の生産データは、その分析の正しさを明確に証明したかたちだ。

背景には、米需要などの盛り返しを想定した自動車や電機などの生産増の計画があるようだ。ナイアガラの滝のような落下から、4─6月に増産基調が明確になったことで、各種のセンチメントが好転すると複数のエコノミストは予測する。

ただ、その先に継続した回復があるのか、それとも腰折れが待っているのか──。エコノミストの間でも、見方は分かれている。

簡単に本格回復の基調に復帰できないという見方が多数のようだが、主要国がそろって大幅な財政出動に動くケースは「初めてと言っていいだろう」(国内市場関係者)と、その効果の出方を図りかねる声も少なくない。

光が見えた先に存在するのは何か。

(写真/ロイター)