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2009年11月05日

米超金融緩和策の長期化

Posted by: 田巻一彦

USA-FED/BERNANKE米連邦公開市場委員会(FOMC)が4日に公表した声明文では「FF金利を長期間、異例に低い水準とすることが正当化される可能性が高いと引き続き予想する」との文言を修正しなかった。

一部の米紙報道をきっかけに、いったんは米市場でFRBが超金融緩和策からの出口を模索するのではないかとの思惑が広がったが、この声明文の発表を受け、FF金利先物2010年7月限は上昇し、2010年上半期まで利上げはないとの見方に傾いた。

声明文では、「雇用喪失の継続、弱い所得の伸び」などが指摘され、実体経済の弱さを率直に明らかにした。10月15日の投稿でも明記したように、失業率の上昇が継続している間に利上げに踏み切った例はない。失業率の上昇が頭打ちになっても高止まりが継続すれば、利上げのタイミングを模索するのは難しいだろう。

米雇用情勢や所得環境を展望すれば、米市場はいずれさらに実質ゼロ金利の想定期間を延長させ、2010年末までは「利上げなし」に傾くのではないかと思う。

日銀の白川方明総裁は4日に行われた講演会で、世界経済がバランスシート調整に直面し、「その間は、経済に対し下押し圧力がかかり続けることを認識する必要がある」と述べたが、まさにそのとおりの展開になるのではないか。

家計と企業、金融機関のバランスシート調整が長期化して「失われた10年」を経験した日本の中銀総裁にとって、この先の展開は「既視感」(デジャブ)を伴うことになりそうだ。

超金融緩和が長期化すれば、2日の投稿でも述べたように、緩和を実施した国以外にリスクマネーが流入し、そのマーケットはバブル化する可能性が高くなる。実際、金価格は史上最高値を更新し、アジアでは香港、シンガポールの不動産価格が急上昇している。

21世紀型のマネーのうねりが大きくなってきている。

(写真/ロイター)

2009年08月27日

金価格が示す米緩和策の遠い出口

Posted by: インサイトコラムニスト

*この投稿は、ロイターの「インサイト」コラムに掲載された寄稿を抜粋しました。 

亀井幸一郎 マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表 金属・貴金属アナリスト

8月11─12日の2日間の日程で開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)に対する金市場の関心事は、この3月から実施されている国債の買い取りを柱とする「量的緩和策」の扱いだった。

なぜなら年始以降の投資需要急増の背景にあるヘッジファンドの金ETF(上半期521トン残高増加)の大量取得やNYコメックスにおける高水準の買い建て玉の維持(ネット400─600トン)は、すべからく将来のインフレを想定したものであって、それはここまで続いた中銀によるドル紙幣の大増刷(プリンティング・マネー)に対する対応策として取られたからだ。

8月のFOMC声明文では「経済情勢は異例の低金利が長期間継続するのを正当化する公算が大きい」とした。いわゆる「時間軸効果」を狙ったものといえる。

だが、(決定内容や声明文などで)いわゆる「出口戦略」を示したといえるのだろうか。今回、国債買い取りには終息の道筋を示したFRBだが、それより金額の大きな住宅ローン担保証券(買取予定1兆2500億ドル)や米連邦機関債(ファニーメイ、フレディ・マック債、買取予定2000億ドル)の買い取りについて、具体的な方向性は示されなかった。

政策の実態は、住宅ローン担保証券(RMBS)と政府機関債(住宅公社債)の買い取りであり、実質的な量的緩和策は続いているとの解釈となろう。それこそがバーナンキFRB議長がこの政策を「量的緩和策」と呼ばず「信用緩和策」とした真骨頂であるからだ。

この決定を受けた金市場の反応は極めて限定的で、むしろ上昇したほどだった。本来的に緩和策の終了示唆(出口戦略)は、金価格にとっては買い要因が弱まることを意味するが、金市場は今回の決定をそうは受け取っていないということである。

そもそも金融当局による潤沢な資金提供に世界的な金融市場の落ち着きもあり、金融界全般が一時の混乱状態を抜け出したことから平穏が戻っているのだが、多くの銀行はいまだに多額の不良債権を抱えている状況にあるとされる。

米議会調査委員会が8月11日に発表した報告書によると、今なお6000億ドルから1兆5000億ドルの不良資産が残っているとされた。実際に3月末の時点で取引がないため価格の付けようのない「レベル3」と呼ばれる資産を大手18社だけで6575億ドルも抱えていたという。
 
潜在的な問題は先送りされており、仮に景気が二番底に向かうとなると危機が再燃する可能性がある。この状況を逆に捉えるなら、米政府はテコ入れ策の手を緩めるわけにはいかないし、FRBも同じだろう。
 
結局、出口戦略を描こうにも、その出口はまだまだ遠いということになる。緩和状態はさらに相当期間続けざるを得ず、900ドル台半ばで滞留を続ける金価格の動きは、それを織り込み済みといえそうだ。 

全文は、こちらでご覧になれます。

*投稿におけるいかなる見解又は意見は当該コラム寄稿者自身の見解や分析であって、ロイターは、それらを是認せず、またはそれらの正確性についても保証しません。