ロイターブログ

討論×闘論

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2009年09月11日

コーン副議長が示した「遠い出口」

Posted by: 田巻一彦

USA /金融政策における非伝統的政策の出口戦略は、なかなか発動できず「出口は遠い」と、このところ何回か続けて投稿してきた。

その見通しを是認する発言が10日、ついに中銀幹部から飛び出した。米連邦準備理事会(FRB)コーン議長は、近い将来に出口政策を実施する可能性は低いとの見解を示した。

10日の米国債市場で、30年債利回りが前日の4.33%台から4.20%台に低下。10年債利回りは3.3%台、2年債利回りは0.88%台に下がった。

同時に進行しているのがドル安だ。金などの貴金属や資源国通貨が買われ、その反対側でドルが売られているのだ。ドル指数は10日に一時、2008年9月下旬以来の水準に低下した。

さて、日本ではどうか。約40兆円とみられる需給ギャップの大きさや雇用情勢の悪化、消費の低迷ぶりをみると、真っ先に日銀が出口に駆け寄るというのも考えにくい。

市場における金利曲線の変化を見ると、日銀が正式表明する前に事実上、「時間軸効果」が出てき始めていると見ることもできないだろうか。

リーマン破たんから間もなく1年を迎えるが、市場は新しい場面を迎えつつある。

(写真/ロイター)

2009年08月25日

日・米・欧中銀総裁の本音

Posted by: 田巻一彦

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が21日にジャクソンホールで講演し、世界的な経済成長の回復に向けた見通しは短期的に良好であると述べ、この後に米株式市場は上昇を続けている。

USA-FED/

確かにこのところ、経済の好転を示すデータが出てきている。8月フィラデルフィア連銀業況指数は11カ月ぶりのプラスとなり、7月米中古住宅販売は約2年ぶりの高水準を記録した。

米実体経済は、昨年9月のリーマン・ブラザーズ破たん後の急速な景気後退から立ち直りつつある。一部の金融関係者からは「非常事態に対応した非常措置は、危機の回避が鮮明になれば、やめることも1つの選択肢ではないか」との声も出ている。

だが、ジャクソンホールでバーナンキ議長は「重要なことは金融破たんの恐れが大幅に後退したことだ」と述べつつも、リスク資産を中銀が大量に購入する非伝統的な手段の出口を明確に指し示すコメントを出さなかった。

その背景について複数の金融関係者は、米銀が抱えているCDOCDSなどは時価評価しなくてもよくなったので、決算上は表面化していないものの、事実上、多くの銀行資産が不稼動資産として“塩漬け”になっており、金融機能が実質的には大幅に低下している現状があると指摘する。

実際、トリシェ欧州中銀(ECB)総裁は同じジャクソンホールでのシンポジウムで、金融危機から正常に戻ったとの見方が出ているが時期尚早であるとの認識を示している。

ここで注目されるのが、白川方明日銀総裁の発言だ。世界の中銀の主要な顔ぶれがそろったジャクソンホールのシンポジウムの中の講演で「低金利が継続するとの根拠のない予想を醸成することを通じて、金融政策がバブルを加速させることは回避しなければならない」と述べた。

表面的な実体経済の戻りをにらみつつ、中銀首脳は、これから先の世界経済の展開をイメージしているに違いない。出口に言及しなかったバーナンキ議長は、明らかに信用緩和政策の長期化をにらんでいるようにみえる。

これまで過度な金融緩和に警鐘をならしてきたトリシェ総裁も、金融市場の安定化と金融機関の機能回復に政策の軸足を移しているのではないか。

白川総裁は、グローバルに展開される「総緩和状況」とも言える状況が、常態化することへの危機感を強く示したと受け取れると思う。

日、米、欧の中銀総裁の本音がちらりと見えたジャクソンホールのシンポジウム。リーマンショックから1年が経過しつつある中、新たなバブルの発生にも目を凝らす時が来たと言えないだろうか。

(写真/ロイター)

2009年08月18日

注目されなかったFRBの決断

Posted by: 田巻一彦

USA/米連邦準備理事会(FRB)と財務省は17日、新発の商業用不動産ローン担保証券(CMBS)を担保とするターム物資産担保証券貸出制度(TALF)の期間を2010年6月30日まで半年間延長すると発表した

また、新発の資産担保証券(ABS)と既発のCMBSを担保とするTALFは10年3月31日まで延長する。

マーケットでは大きな注目を集めなかったが、この決定は米金融市場が深刻な状況に依然として直面していることを端的に示していないだろうか。

マーケットの一部には、12日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で、国債買い入れの時期が10月末まで延長されたことを受け、10月以降に量的緩和の終了プロセスがスタートするとの見方が広がった。出口を模索し始めたとの読みだ。

だが、本当にそうだろうか。

ある邦銀関係者は「国債の買い入れを止める方向になっても、他の資産を買ってマネーを市場に出せば、量的緩和もしくは信用緩和の効果は継続する」と述べる。

FRBがクレジット物の買い入れを停止すれば、金融市場の機能が再び、マヒするのは明らかだろう。FRB以外にリスクを果敢に取るところがないからだ。

財政赤字の拡大に手を貸すようなイメージになりやすい国債買い入れは、なだらかに縮小していくとしても、クレジット物への“市場介入”を通じ、信用緩和を継続して、機能不全の金融市場の傷口を覆い、実体経済の回復を我慢強く待つ──。

これがバーナンキFRB議長の本音と見るが、今週ワイオミング州ジャクソンホールで行われるFRBのシンポジウムで予定されているスピーチで、議長はどのような見解を示すだろうか。

(写真/ロイター)